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「新国際貧困緩和少額融資活動」~アフリカ人と日本人をつなぐ
             井上昭夫

開発途上国向けの貧困緩和自立支援を目的としたムハンマド・ユヌス氏が、マイクロ・ファイナンス(少額融資)でひろく世界の貧困緩和に貢献しノーベル賞を受賞したのは有名である。グラミン銀行を代表とする無利子で融資をおこなうこのマイクロ・ファイナンスに対して、最近開発途上国の小企業家向けに実働しはじめたのが、専用ウェブサイトを立ち上げて運営をおこなうマイクロ・レンディング(少額貸付)という新たな注目すべきシステムである。後者は、とりわけ個人が貧困から抜け出し、より豊かな生活を求め、さらには小規模ビジネスの立ち上げに意欲をもつ人たちにむけて、低利子・無担保の条件での資金融資を行うと同時に、投資者にむけても利潤還元する点にその特徴がある。
アフリカ大陸の貧困緩和自立支援活動を目的として、ウェブサイトを媒体としたこの新たな投資・貸与活動がウガンダで昨年はじめて立ち上げられた。このマイクロ・レンディングサイトは、デンマーク政府援助機関ダニダが支援するデンマークの企業家によって設立され、MyC4と呼ばれる。本年9月、第2回天理大学東アフリカ貧困緩和自立支援調査・活動で再会した映像作家ロナルド・イサビリエ氏が、MyC4のウガンダパートナーとしてその代表者になっているのを知り、彼から綿密なヒアリングをおこなう機会をえた。わが国ではまだ知られていない、将来期待されるモデル・プロジェクトとして紹介しておきたい。
マイクロ・レンディングは通常の投資と比較するとその利益率は少ないが、その投資がもたらす貧困緩和への社会的付加価値は絶大であると思われる。ウガンダの国立統計局によると国民の「失業率」は3.5%であるが、若者の失業率は22%を超えているといわれる。しかし、実際は国民の労働人口の70%が変則的なビジネスに従事しているか、もともと職をもった経験がないから、公表された「失業率」の数字は信用できない。ヨーロッパの労働基準からみれば、ウガンダに限らずアフリカ大陸は単純ではあるが、なべて相当な潜在的労働力をもっていると見られる。ビジネスに対する専門的な知識と資本さえ与えれば、その巨大な潜在能力を開発することにより、国家の貧困緩和政策は、対政府間国際援助よりも、この草の根レベルの小企業化運動をとおして成功するのではないかと思われた。
MyC4は、ウガンダにおいて小資本融資事業部門であるCapital Micro Credit(CMC)と企業開発事業部門であるFederation for Entrepreneurship Development(FED)をパートナーとして活動をおこなっている。イサビリエ氏は、両部門の代表を兼任し、その活動振りがムセベニ大統領の写真入で現地の新聞で大きく取り上げられた。
融資支援を申し込んだ個人のビジネス案に評価が下されると、CMC/FEDはその企業提案をMyC4に送信する。MyC4はその企画案をウェブサイトに掲載し投資者を募る。最も金利の低い資金提供者が当案件の資金提供の権利を落札する。MyC4は現在74カ国から7,754人の投資家の実績を誇り、ウガンダでは99%の被融資者が利子の返還をおこなっている。投資者の受け取る利子の平均値は12.8%である。ウガンダでは銀行融資には26%、マイクロ・ファイナンスは35%の利子が課せられる。くわえて銀行は融資額200%の担保を要求する。貧困層にはとても手が出ない。そこへ無担保、低利子で融資が得られる新たな貧困緩和自立事業がインターネットを通して可能となった。融資を申し出る70%が女性であり、その個人零細企業の充実にむけた活動の成果は確実に草の根コミュニティー開発に貢献している。
MyC4の事業はケニア、タンザニアなどにも広がりを見せている。投資者にも利子が還元され、被融資者にも生活の向上が自助努力によって約束される新たなインターネット・ローンシステムは、グローバル化による21世紀の世界的貧困格差を解消するおおきな希望を提供する試みとして、注目していきたい。
 上記は2008年11月号の『グローカル天理』巻頭言で取り上げた先進国による発展途上国に対するイーコルパートナーシップのもとに開発された新たな貧困緩和事業のアフリカ大陸における一例である。その翌年、つまり第三回ウガンダ貧困緩和自立支援調査研究活動2009年8月において、イサビリエ氏と面談し新たな氏の顧客について情報交換をおこなった。氏の活動はケニアとタンザニアにも広がりを見せつつあり、その状況を映画に納めてもらう約束をし、ハンディな三洋電機から提供された映写機を提供してきた。その映像は第三回隊活動のフィルムに収めてある。
 
その後たまたまウガンダから帰国した筆者の目にとまったのが、日本経新聞夕刊に連載された金融で世界の貧困をなくしたいという記事であった。記事はミクロフィナンス融資機関を米ワシントンDCで起業した感動的な栃迫篤昌氏という一日本人男性による活動を紹介していた。
氏は日本の銀行に27年勤めた後に、2003年、社会の底辺層に金融機関を使えるようにすることで、世界の貧困を解消したいというメキシコ留学時代にふれた貧困家庭の少年との出会いをとおして、「貧しくても一生懸命働く人が次の段階に上がれるチャンスを提供する金融サービスを提供したい」という誓いを立てた。そして青年はその30年後にその誓いを実現したという苦労ばなしであった。彼はこれまで金融機関に相手にされなかった低所得者層に国際的な金融サービスを提供するマイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーションを立ち上げたのである。筆者は感動してその記事をすぐさま英訳し、ウガンダのイサビリエに送信した。イサビリエは即座に反応し、栃迫氏にメイルを打ち、栃迫氏自身と筆者との三名による文通がはじまった。その日はくしくも10月26日の深夜で立教の日であった。ワシントンDCの日本人とウガンダの青年企業家が貧困緩和事業をとおして意気投合したのである。将来の両者共同による貧困緩和自立支援の新事業の展開を期待すること大なるものがある。
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by inoueakio | 2009-09-02 09:55 | アフリカ
第3回東アフリカ貧困緩和自律支援活動写真報告
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by inoueakio | 2009-09-02 09:54 | アフリカ
第三回ウガンダ貧困緩和自立支援調査研究活動2009
第三回ウガンダ貧困緩和自立支援調査研究活動2009年報告書 
2009年9月2日 井上昭夫記

今回の他者への献身プロジェクトは二班に分かれて推進された。
第1次隊は、おやさと研究所所長の河口尊助手、渡辺菊眞高知工科大学准教授、江崎貴洋環境デザインスタジオ・セブン+4、と高橋俊也環境造形システム研究所員の4隊員からなり、河口以外は学外よりの自費参加で、渡辺は本学の過去における企画に参加したベテラン建築デザイナーであり、建築史の専門家である。渡辺、江崎は土嚢建築をヨルダンでもNGOから依頼されて、ここ数年その仕事に携わっている。

第2次隊は、筆者と「カブールトライアングル」の製作共同者ハグマシーン代表の井上春生映画監督の2名であった。第1次隊は、8月4日に関空を出発し18日に帰国した。第2次隊は、8月8日に出発してウガンダで第1次隊と合流し、14日にウガンダを立ち、デリーに3泊した。デリーでは、カブールより招聘したAfghan Film の所長アーマド・ラティフ映画監督をまじえて、South Asia Foundationの書記長を勤めるラフール・バルァ氏と映画による平和構築に関する情報交換を行った。ラティフ氏は本学創立80周年記念事業であるシンポジウム参加のために来学し、記念講演を氏の製作した映画紹介とともに地域文化センター主宰の記念プログラムで行ったことがある。一方バルァ氏は1991年に発足したゴア国際映画祭の主宰者で、氏からは現在準備中のインドを中心とした近隣8カ国のBuddha and Peaceのドキュメンタリー映画の日本紹介や、新映画企画についての共同制作を提案された。話し合いにおいては、来年度の平城遷都1300年祭記念事業に結びつける映画製作企画の可能性を検討した。くわえて、同基金が開発する貧困地域を視察し、陶器製造を主とした家族単位作業の映画記録撮影を克明に行った。加えて宿泊所の近くにあったサイババ寺院などを早朝訪問し、参拝者へのインタビューや映画撮影をおこない、19日に帰国した。

第1次隊は、白ナイルの源流があるジンジャ市近くのUganda Namutumba Isegero に位置するブソガ族の寒村において一週間にわたり土嚢建築をおこない、一棟のドームモデルを現地の建築家などとともに完成した。彼らは我々との作業に学んで、渡辺氏が設計したユニットを独自に将来仕上げる予定である。事の発端は、昨年マケレレレ大学の合同会議で紹介されたヴィクトリア湖畔カージにおいて建築を始めた自然建築・土嚢ドームに倣ったシェルターを建てて欲しいというMultiversity Paolo Wangoola 学長の依頼による。ワンゴーラ学長はブソガ族出身で英国に留学した知識人であり、消え行くブソガ族の言語と文化の保存に意欲を燃やしている反グローバリゼーションの先鋒として知られる人材である。出発前の彼との主義思想論議に関するメイル交換はゆうに一巻の書物になるほどである。
一方気がかりであったカージのエコヴィリッジ・ユニットのその後と、アグリトピアの原型は植樹によってほぼ完成に近づいていた。ユニットの中心棟は約8メートルの高さで、3000枚の土嚢を積み上げたドームである。自然建築カテゴリーのホープである土嚢ドーム建築界においては、世界一の高さを誇り、ギネスものだと感動した次第である。

第2次隊は、到着直後Isegero village にむかい第1次隊と合流し、ワンゴーラ学長を主体とするブソガ族の植林やアグロフォレストリーなどを視察。第1次隊が完成したモデル土嚢ドームや土着の伝統的住居などを視察し、ブソガ族をはじめ子供達や家族の生活様相などの映画撮影をおこなった。今回の土嚢建築には400枚の土嚢を日本から持参し、昨年参加したカージ村における土嚢建築経験者であるキクング村出身の孤児一人の協力を通訳と実務をかねて依頼した。

1次隊の河口は2次隊の到着後一次隊と2次隊がインドへ出発するまでに合流した。上記自費参加の他学の3名は、首都カンパラにおいて自主行動を取り東アフリカの伝統的建造物の調査をおこなった。河口は、日本から持参したMJCO2 デジタル CO2 モニターとクリーン・チェッカーを使って、34箇所において空気・大気汚染と水質汚染の調査を行った。

キクング村では、天理丸に乗船し、貧困離島において浄水器を使用した。昨年寄贈したこの浄水器は、マケレレ大学自然科学環境所のJames Okot教授が、ウガンダの各地において調査研究中のものを一時拝借したものである。日本から持参した100枚の大型のビニール袋にヴィクトリア湖水の汚染した水を浄水し、現地の主婦や子供たちに約2時間手動で飲み水を提供し、感謝された。キクングにおいては、新しい布教所(那美岐大教会系キグング集団所)の仮神殿が立派に完成していた。天理丸はそのそばにあるヴィクトリア湖畔に係留してある。孤児たちを支援する集団所が経営するNGO・どじょうの援助資金は、天理丸を貸し出すことによる収入が基金となり、かれらの生活の基盤となっている。天理丸の寄贈が自立支援の目的の一端を果たしていることを知り、感動した次第である。今回も準備段階において本学卒のウガンダミッションセンター石原藤彦所長の協力を得た。筆者は到着直後の現地人との打ち合わせにおいて、脳梗塞後遺症を伴う疲労のため意識を失い、救急車で病院に運ばれたが、翌日からは不思議に予定をどうやらこなして無事帰国した。すべてに感謝している次第である。
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by inoueakio | 2009-09-01 12:53 | アフリカ